「ORIGINALS」による、究極の風通しが作る強い組織
評判の高い「ORIGINALS」を読み始めたら、めちゃくちゃ面白くて一気に最後まで読んでしまった。
著者のAdam Grant氏によるTED動画がこの本の概要を話している。
TED動画では語られていない、7章の「ダメになる組織、飛躍する組織」が印象的だった。
ここで登場する「ブリッジウォーター・アソシエイツ」という会社がかなり強烈な組織文化を持っていて、これはある意味、強烈な心理的安全性だなとも思った。
心理的安全性とは
心理的安全性については、こちらのスライドや
心理的安全性の構造 デブサミ2019夏 structure of psychological safety
提唱者であるエイミー・エドモンドソン教授のTED動画や本を読むのがおすすめ
心理的安全性は、自分もチーム開発においてとても重要視している考え方で、忖度しないこと・コンフォートゾーンに入らないこと をなるべく気をつけている。
ブリッジウォーターの強烈な文化
ブリッジウォーターは金融業界で長年業績を上げている企業で、2010年の収益は「グーグル」「eBay」「ヤフー」「アマゾン」の利益の総額を超えている。
独創的なアイデアを歓迎する社風としていて、一般的な投資ファンドに比べ、投資先をより多様化することでリスクを減らすというのも特徴的な戦略の1つとしている。
同社の創業者であり億万長者のレイ・ダリオは「投資の世界のスティーブ・ジョブズ」と呼ばれているが、なんと、部下たちは彼を特別あつかいしない。
次の文章は、投資アドバイザーである一般社員が、新規受注の可能性のある大切なクライアントとの会議を終えてから、ダリオに送ったメールらしい。
ダリオ様。今日の会議でのあなたのパフォーマンスは、正直に申し上げて、Dマイナス、最悪でした……五〇分間しゃべりっ放し……まったく準備なさっていなかったことが、私たちにははっきりわかりました
アダム・グラント. ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.3706-3708). Kindle 版.
一般社員が創業者にこんなダメ出しメールを送るなんてとても考えられないが・・・ブリッジウォーターでは当たり前のことらしい。
しかもダリオは、このメールのやりとりをコピーし、みんながこのやりとりから学べるよう会社全体に送信もしているとのことだ。
否定的な感想をいうとき、多くの組織ではひっそりと行なわれる。
ブリッジウォーターでは、問題や意見があれば当人と直接話し合う。
「忠誠心より、真実を語ることや柔軟であることを優先せよ」
「批判的な意見を口に出していえないのなら、批判的意見をもつ権利はない」
と、ダリオはルール集に記している。
典型的な組織では、異論を唱える者は罰を受けるが、ブリッジウォーターでは、意見が出せるかどうかで決まる
アダム・グラント. ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.3711-3719). Kindle 版.
これは強烈な組織文化だと思った。
この会社では、現状に迎合する従業員は解雇されることすらあるらしく、「忖度」なんてしてられないことが分かる。
また、以下の引用箇所も印象的だった。
世界を「創造する者」は、自主的に考える人であり、「好奇心が強い」「まわりに同調しない」「反抗的」という三つの特質があるという。
こういった人たちは地位や階層などを気にせず、残酷なまでに率直だ。
そしてリスクを顧みず行動を起こす。彼らにとっては、失敗することの恐れより、成功しないことへの恐れのほうが強いからだ。
アダム・グラント. ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.4046-4049). Kindle 版.
世間一般では、「まわりに同調する」や「反抗的にならない」ことが良い人の条件として挙げられたりするけど、創造性の観点で見るとあまりよろしくない行動になる。
とはいえ、とにかく嫌なヤツになれば創造性が高まるってわけではなくて、あくまで「自分の本当の考えを黙って周りに同調する」とか「改善の余地があるのに反抗しない」など、外面だけ良い人になろうとするなってことなので、今後意識していきたいなぁと思った。