組織パターンの前提は、「信頼で結ばれた共同体」
「組織パターン」を読んだのでメモ。
本書では4種類のパターン言語が説明されており、
- プロジェクトマネジメントのためのパターン言語
- 組織の漸進的成長のためのパターン言語
- 組織のスタイルのためのパターン言語
- 人とコードのためのパターン言語
(手書きの汚い図だけど・・・) どのパターン言語も、パターン同士のつながりが有向グラフで図示されている。
信頼で結ばれた共同体
4つのパターン言語全てにおいて、矢印の始まりは必ず「信頼で結ばれた共同体」のパターンになっていて、これが組織の基盤となる一番重要なパターンだと示されている。
考えてみればそうで、よく言われる"心理的安全性"や"企業文化のデザイン"もこの「信頼で結ばれた共同体」を作るためのプラクティスみたいなもんで、このパターンを目指してどの組織も試行錯誤している。
お互いを信頼できてない組織は、自己弁護や自己評価・自尊心を満たすためのコミュニケーションが多くなったり、お互いがちゃんと働いているのかを監視するコストが増えてうまくいかなくなる。
前に読んでブログ記事にも書いた「ORIGINALS」という本で紹介されているブリッジウォーター社では、
「忠誠心より、真実を語ることや柔軟であることを優先せよ」
「批判的な意見を口に出していえないのなら、批判的意見をもつ権利はない」
と、強烈な企業文化を作ってそれを従業員に守らせており、これで「信頼で結ばれた共同体」パターンを作ってるかなぁと思った。
あと、企業文化のデザインについては、最近読んだ下記の記事がとても面白かった。
この記事の中で紹介されている、「優れたリーダーはどうやって行動を促すか」という動画は、組織パターンの中で登場する「目的の統一」パターンと同種の考えだと思った。
「目的の統一」パターンでは、コミュニケーションのことを下記のように説明している。
コミュニケーションは目的の統一を実現するための手段にすぎないのだ。
よく、コミュニケーションが大事!コミュニケーションが重要!と聞くし、自分もそう思っちゃうけど、何のためにコミュニケーションをするのかという目的意識を改めさせてくれた。
「組織パターン」では他にも大量のパターンが紹介されているけれど、有向グラフの末端にありがちな各パターンをそれぞれ適用していくよりも、まずはこの大前提となる「信頼で結ばれた共同体」パターンを目指して全力を注ぐのが大事だなと改めて感じた。
今の自分に強く印象に残ったパターン
「信頼で結ばれた共同体」パターンが一番重要だとして、他にも重要だと思ったパターンはたくさんある。
その時の組織環境や心境によって各パターンへの印象は全然変わると思うけど、とりあえず"今の自分"が読んで印象的だったパターンは下記の通り。
- コンウェイの法則
- 期日までのゆとり
- 組織を細かくする
- 段階的に人を増やす
- 防火壁
- 目的の統一
- 婦長
- 賢い愚者
- 作業を均等に配分せよ
- 冷水器
- アーキテクトも実装する
- コードの所有権
長くなってきたから、またなんかパターンに紐づく経験をしたり考えが浮かんだときに文章化しよう。
まとめ
組織構造に関する改善をしたいときや、チームの中で自分や同僚のロールをいい感じに適応していきたい時に、これらのパターンを覚えておくとアイデアの種になりやすいと思った。
今までの自分は、組織構造やチーム内ロールバランスなどにあまり気をかけず、チームの結束力・学習力を高めて個人の力も高くしていけば何となくのチームビルディングはできるんじゃないかと思いがちだったけど、組織パターンを通してチームビルディングの「語彙」が増えたのは良い学習になった。